今回は、実際にドローンでの農薬散布を行なっているA.くらさんに農薬散布の実態について色々インタビューしてきましたので、その内容を紹介していきます。
今からドローンでの農薬散布を検討されている方は参考にしてみてください。
ドローンでの農薬散布を始めたきっかけ
農薬散布は主に水稲に使用しており、2017年までは他社の事業者様に契約してYAMAHAのヘリで農薬散布を頼んでましたが、DJIのMG-1が出た事により自社でしても採算が合う様になり、そこから農薬散布をするようになりました。
YAMAHAのヘリは本体価格で1500万円もかかり、散布するのにも4〜5人必要だった為、かなりの面積を請け負わないと採算も合いませんが、ドローンですと本体価格で120万円にその他備品を入れても250万位に2人居れば散布出来たのでドローンで農薬散布を始め、それから周辺の農家さんからも頼まれる様になり規模拡大していきました。
ドローンでの農薬散布の初期費用について
初期費用としては、合計で220万円くらいですね。
内訳は以下になります。
- ライセンス料:150,000円
- 機体DJI-MG1:1,200,000円
- バッテリー:480,000円(6個)
- 無線トランシーバー:250,000円(2個)
- その他備品(水槽タンク、ポリタンク):100,000円
2018年ではまだドローン自体が普及して間もなかったので補助金や助成金などは無かったので使っていないです。
最近では、補助金や助成金なども多くあるのでそこまではかからないと思います。
実際に先日購入した、同じMG1ですが機体代で60万に補助金で半分の30万くらいは国から戻るので国からの支援とドローン自体の価格も下がってきている感じです。
ドローンの機体費やドローンスクールの受講費など、ドローン事業を行う上で、かなり出費がありますよね。 少しでも国から支援を受けることができれば、嬉しいですよね。 ですが、ドローン事業でどんな支援を受けれるのか知らない方多いと思いま[…]
ドローンでの農薬散布の需要について
私の周りでは米農家さんが多いので、実際の需要はかなりあります。
水稲防除の農薬散布ですと、1シーズンに500ha(250ha×2)で粗利で500万前後は出ます。
稼働時間としては1日10時間×8日位です。
天候に左右されるので強風や雨の日などは中止や待機時間がありますので、今までのヘリ防除より圧倒的に頼む方もコストが安いので毎年作業面積は増えてきています。
そしてこれからもっと需要は増えていくと思います。
理由としては、現状農薬散布で使える農薬自体がまだ少ないのが一番のネックな所ですが、それが今後農水省で認可が下りていくので水稲だけではなく、果樹や野菜類にも使える農薬が増えればドローンの農薬散布の需要も増える見込みです。
ドローンでの農薬散布ランニングコスト
年間のランニングコストですが、主に以下になります。
- ライセンス更新料:120,000円(2年に1回)
- 定期点検:100,000円〜350,000円(不具合箇所で高額になる場合)
書類の申請などはコストはかかりませんが、時間的なコストは多少かかってきます。
機体の羽のモーターが対応時間が150時間なので2シーズンに一回は交換するので、その時が結構かかります。
ドローンでの農薬散布の仕事の取り方
仕事の受注は稲作ですとそこの地域で使う薬剤は統一されており、今までヘリ防除に依頼されている方に向けてコストを半分以下でドローンなら散布出来ますと営業をかけていきます。
- ヘリ:10a 3000~5000円
- ドローン:10a 1000~1500円
同じ薬剤散布で効果も同じものですので、稲作ですとコスト面で生産者の方に考えてもらいます。
他野菜などですと登録されている薬剤の散布を無料でしてあげ、実際に散布の所を見てもらいます。
10aあたり人力で散布する場合、30分〜50分かかりますがドローンですと5分前後で終わるのでそこで生産者の時給や楽さを考えてもらい仕事を取っていきます。
飛び込み営業は基本的に行っておりません。
あとは知り合いか、JAの営農指導員の方に誰か紹介してもらいます。
生産者の方もある程度規模がないと試験的に散布や実演をさせてくれないので、あとは生産者のセミナーなどに行き知り合いなど増やし興味を持ってもらう事も多いです。
ドローンでの農薬散布をする上での注意点
注意点は以下になります。
・農薬の希釈率(作物に合っているか)
・周辺圃場に無農薬栽培や有機栽培の有無(有った場合散布出来ないので)
・散布時期の確認
・散布箇所近くに工事現場等は無いか(ダンプやトラックに設置されている無線に電波が取られる場合がある為)
・DIPSの申請や作業日報の作成
など特に気を遣かってます!
ドローンでの農薬散布をやっていて一番辛かったこと
当社のドローン散布の繁忙期は7月〜8月なので意外と体力が必要になってきます。
ドローン操作自体は、ほとんど自動なのですが晴れてないとドローンは飛行させられないので炎天下の中、ずっとドローンを見ているのは結構辛いですね。
ドローンでの農薬散布の収入
12月〜3月は散布作業がないので、農薬散布の年収で300万超位です。
その中でも9割位の売り上げが7〜8月だけであとは実演や試験的なデモンストレーションは行いますが、ほとんど収入にはなりません。
当社はかなり散布コストを抑えて生産者の利益が上がるようにやってますので、他の業者様ですと同じ散布面積でしたら1000万くらいの売り上げは超えると思います。
ドローンでの農薬散布は個人でもできるのか
個人でも農薬散布は可能です。
ただし、野菜類などは営業かければすぐに取る事もできますが、稲作の方ですとJAの組合主体で農薬散布をしている所もあるので、そこら辺の兼ね合いもあるかと思います。
最近では、果樹などにも農薬散布が試験的に始まっているらしいので、一台ドローンを持っていれば幅広く出来ると思います。
ドローンでの農薬散布の資格の必要性
今後個人で始められる方が増えていきそうですね。
ドローンでの農薬散布は資格が必要だったりするんですか??
農薬散布に資格は必要無いですが、農薬散布するドローンの操縦ライセンスの資格と農林水産航空協会に所属する事が必要です。
また現在ですと農薬散布のドローンはDJIが1番精度が良いため、その場合、DJIのドローンの操縦資格は必要になってきます。
ライセンス取得の際に通います。
またDJIのドローンの場合、年1回の定期点検にDJI専用保険が付いてきます。
他の機体メーカーは詳しくはわかりませんが、ドローンスクールと販売店や販売代理店が一緒になっている所はオススメです。
ドローンでの農薬散布を始めるまでの流れ
1.市場調査
1番肝心なのは、需要があるのかを調べることです。
農薬散布用のドローンは機体価格が高額な為、始める前に必ず需要の有無を確かめてからスタートしていきます。
2.資格取得、機体、スクール選び
農薬散布の仕事を請け負う総面積とドローンの稼働時間を計算して、ドローンの機体を選び
その後にそのドローンを操縦出来る様になる資格を取得していきます。
最初は口コミよりも実際に販売店舗やドローンスクールに相談した方が良いです。
3.農薬散布する前に事前確認
農薬散布は時間と天候との戦いになる為、作業中の確認や連絡などわからないことは事前に確認しておく。
特にビジネス観点から考えると、農薬散布は数をこなして売り上げを上げていくため、作業をストップする訳には行かない為、事前準備は万全に。
これら3つが出来ればドローンビジネスで成功する確率は上がります。
ドローンでの農薬散布において市場調査が一番大事
私の場合はドローン導入が県内で1番早かったので、周りはヘリでの農薬散布がほとんどだったので必ず上手く行くと思っていました。
もし今からドローン参入する場合は、稲作の場合、農薬散布は何で行なっているのかアンケートや生産者の栽培履歴などを見せてもらいます。
ヘリ防除や人力での散布方法でしたら、コスト面を抑えられる事を優位に交渉していきます。
果樹、野菜類の場合は、現場に出向き何で農薬散布しているか見て、ドローンでの請け負いを交渉する。
果樹や野菜類はまだまだドローン散布が主流になっていないのでこれからがチャンスだといえます。
市場調査は実際に生産者と現場圃場など見に行った方が良いと言えます。
そこで作業などしていましたら、話しかけることにより仕事を請け負える事も多々あります。
この点で注意しないといけないのが、農薬の性質上、農薬散布は早朝か夕方に行なっている事が多いのでこの辺の時間帯に行くのがベストです。
まとめ
今回、ドローンでの農薬散布についてインタビューさせていただきました。
通常のドローンと違い、費用が大きくかかってしまいますが、その分場所によっては大きな売り上げを出せるくらいの需要があることがわかったと思います。
個人で始めてみたいと思っている方は、今住んでいる地域の周りの市場をしっかり調べて、需要がありそうだったら、参入してみても良いでしょう。
- 初期費用は220万円
- ランニングコストは年間16万円〜35万円
- 仕事は知り合いかJAの方に紹介してもらって取る
- ドローンでの農薬散布はコスト・時間がかからないことから需要がある
- 10aあたり1000~1500円
- 夏が勝負
- 資格は必要(DJIなど)
- 市場調査が一番重要
「ドローンの農薬散布って仕事になるのかな…」 「農薬散布が将来的にどうなのかについても知りたいな…」 ここ数年でドローンの需要が高まり、ドローンを使って新しく仕事をしたいと思っている人もたくさんいますよね。 そこで今回は、ドロ[…]