「型式認証ってなに??」、「機体認証とどう違うの??」
ドローンの国家資格の勉強をしている人や国家資格の取得を検討している人の多くがこのような疑問を抱いてると思います。
そこで今回は、ドローンの型式認証に焦点を当て、機体認証との違いや型式認証を取得した具体的なドローンなどについて詳しく解説していきます。
この記事を最後まで読むことで以下の3つについて理解することができます。
- 型式認証を取得するメリット
- 型式認証と機体認証の違い
- 型式認証取得済み機体一覧
ドローンの型式認証って何??
ドローンの「型式認証」とは、特定のドローン機種が国の定める安全基準を満たしているかを確認し、その機種全体に対して認証を与える制度です。
この認証を受けることで、そのドローンが飛行時に必要な一部の検査や許可申請が省略されることがあります。
型式認証には「第一種」と「第二種」があり、それぞれ異なる飛行条件や安全基準が適用されます。
型式認証は個人が申請するものではなく、主にドローンの製造メーカーが行うものなので注意が必要です。
ドローンの型式認証を取得するメリットは??
ドローンの型式認証を取得するメリットは主に以下の3つになります。
- 検査の簡略化
- 高度な飛行が可能となる
- 飛行許可の免除
それぞれ紹介していきます。
検査の簡略化
型式認証を取得したドローンは、個別の機体認証に必要な検査の一部が省略されるため、飛行許可申請や手続きがスムーズになります。
これは量産型ドローンに特に有効で、複数のドローンを運用する際に手間が大幅に減ります。
高度な飛行が可能
第一種型式認証を取得したドローンは、一等無人航空機操縦士を保有していれば、「カテゴリーⅢ」飛行といわれる、第三者が存在する場所での飛行が可能になります。
これにより、物流やインフラ点検、災害時の調査といった商業用途で非常に有利となります。
飛行許可の簡素化
第二種型式認証以上を受けたドローンは、二等無人航空機操縦士以上の資格を持っていると、カテゴリーII飛行の許可申請が不要になります。
この許可申請が省略されることで、緊急時や時間に制約のある中でも柔軟に対応できるのが大きな利点です。
たとえば、農業分野での自動散布やインフラ設備の点検など、定期的かつ広範囲にわたる飛行が必要な場合に、この制度が非常に役立ちます。
型式認証と機体認証の違いは??
型式認証は、ドローンのモデル(型)全体に対して行われるもので、製造メーカーが申請します。
量産されるドローンが国の定める安全基準や製造の均一性基準に適合しているかどうかを確認します。
一方機体認証は、個人が所有しているドローンに対して行われます。
所有者(主にドローンの操縦者や運用者)が申請し、そのドローンが国の安全基準に適合しているかを検査します。
個別に認証された機体も、型式認証同様に特定の飛行を行う際に必要な申請が簡素化され、より高度な飛行が可能となります。
型式認証を取得しているドローンの一覧
型式認証を取得しているドローンは以下の6機種だけとなります。
- ACSL式 PF2-CAT3型
- ソニーグループ式 ARS-S1型
- センチュリー式D-HOPEⅠ-J01型
- DroneWorkSystem式 EGL49J-R1型
- イームズ式E6150TC型
- エアロセンス式AS-VT01K型
それぞれどんなドローンなのか簡単に紹介していきます。
ACSL式 PF2-CAT3型
出典:ACSL
ACSLが開発した「PF2-CAT3」は、日本で初めて第一種型式認証を取得した国産ドローンです。
飛行に必要なセンサー(GPSアンテナ、IMU、磁気センサー)が冗長化されており、どちらかが故障しても機能を維持できます。
また、GPSアンテナはデュアル構成で、片方の感度が低下した場合、もう一方が機能を補います。
安全性を確保するために、日本化薬製の「PARASAFE」という緊急パラシュートシステムを搭載しています。
緊急時にはローターを停止し、パラシュートが展開され、安全に着陸することが可能です。
型式認証の種類 | 型式認証保有者 | 重量区分 | 有効期間終了日 |
第一種 |
株式会社ACSL |
4kg以上25kg未満 | 2026/03/12 |
ソニーグループ式 ARS-S1型
出典:SONY
ソニーが開発したAirpeak S1 (ARS-S1型)は、プロフェッショナル向けのドローンで、特に映画制作や高品質な空撮を目的としています。
このドローンは、ソニーのフルサイズミラーレスカメラ(αシリーズ)に対応しており、映像制作の現場で高解像度の空撮を可能にします。
Airpeak S1は特に映画制作や空撮を目的としたプロ向けに設計されており、コンパクトで強力な撮影ツールとして注目されています。
型式認証の種類 | 型式認証保有者 | 重量区分 | 有効期間終了日 |
第二種 |
ソニーグループ株式会社 |
4kg以上25kg未満 | 2026/12/21 |
センチュリー式D-HOPEⅠ-J01型
出典:CENTURY
センチュリーのD-HOPEⅠ-J01は、災害対応に特化した無人航空機(ドローン)で、緊急時の救助活動や物資輸送を目的としています。
ウインチを使用して高所から物資を降下させるシステムや、サーマルカメラを使った人命捜索、消火剤を投下するモジュールなど、多様な用途に対応可能な装備が搭載されています。
このドローンは、山岳救助や災害現場での迅速な対応をサポートするために設計されており、今後の災害対応において重要な役割を果たすことが期待されています。
型式認証の種類 | 型式認証保有者 | 重量区分 | 有効期間終了日 |
第二種 |
株式会社センチュリー |
4kg以上25kg未満 | 2027/03/28 |
DroneWorkSystem式 EGL49J-R1型
DroneWorkSystem式 EGL49J-R1は、重量物運搬を目的としたドローンで、古河産業株式会社とDroneWorkSystemが共同開発しました。
このドローンは、特に中山間地域における物流業務に利用されており、狭いエリアや難易度の高い地形での飛行を安全に行うことができます。
型式認証の種類 | 型式認証保有者 | 重量区分 | 有効期間終了日 |
第二種 |
株式会社 DroneWorkSystem |
4kg以上25kg未満 | 2027/03/28 |
イームズ式E6150TC型
出典:イームズロボティックス
イームズ式E6150TCは、イームズロボティクスが開発した物流用ドローンで、特に目視外飛行(レベル3)や夜間飛行が可能な第二種型式認証を取得しています。
このドローンは、物資輸送を目的として設計されており、最大6kgのペイロードを運搬可能です。
LTE通信を利用し、リアルタイムで機体の状態を監視・操作可能で自動離発着機能を備え、夜間でも高視認性を持つ航空灯を搭載しています。
型式認証の種類 | 型式認証保有者 | 重量区分 | 有効期間終了日 |
第二種 |
イームズロボティクス 株式会社 |
4kg以上25kg未満 | 2027/04/04 |
エアロセンス式AS-VT01K型
出典:エアロセンス
エアロセンス式AS-VT01K型は、VTOL(垂直離着陸)型ドローンで、長距離・広範囲の飛行が可能です。
インフラ点検や調査、スマート農業などに活用されることが期待されています。
最大飛行時間は40分、最大飛行距離は50kmに達し、ペイロードは1kgまで対応します。
また、全自動飛行とLTE通信による広域飛行が可能で、狭い場所での離着陸にも適しています。
型式認証の種類 | 型式認証保有者 | 重量区分 | 有効期間終了日 |
第二種 |
エアロセンス株式会社 |
4kg以上25kg未満 | 2027/06/04 |
まとめ
今回は、ドローンの型式認証について紹介してきました。
ドローンの型式認証を取得することで、安全性や法的な準拠性を保証し、商業的な利用がさらに広がることが期待されます。
また、今後、型式認証を取得したドローンによる無人地帯での自動飛行や、目視外飛行の普及が期待されており、これにより効率化が図られる分野が増加するでしょう。